ハワイの写真家クラーク・リトル氏 太平洋で大波のなかに見た美
ハワイの写真家、クラーク・リトル氏は、地球上で最も力強く最も危険だとも言われるバレル波の内部から撮影した珠玉の写真作品で知られている。
オアフ島ノースショア出身の同氏はここ15年にわたり、ショアブレイクの記録を続けている。ショアブレイクとは、モンスターのようにうねる波が太平洋から押し寄せ、岩礁や浅瀬に衝突することなくそのまま砂浜で崩れることをいう。
リトル氏は太平洋での撮影活動を年代順にまとめた作品集、『ジ・アート・オブ・ウェーブス』を発表したばかりだ。今作には150作品を超えるお気に入りの写真が収められている。
「ショアブレイクはとても美しいと同時に恐ろしいものでもあります。しかしかつてはよくショアブレイクをサーフしていたので……私にとっては居心地のいい場所なのです。砂底が好きで、そこでは水が一層美しい色を放つと思っています」と同氏は語る。
サーフィン界の大物、ケリー・スレーター氏は、リトル氏を「ターボ」の愛称で呼んでいる。スレーター氏がサーフィンで最も多くの賞を獲得した選手として名を連ねるはるか昔、数十年前に2人が知り合ったとき、リトル氏はスピード感のあるドライブターンと危険を顧みないプレーで名が知られていた。
写真集の前書きを担当したスレーター氏は「クラークは、自分の見ている景色と密接な関係を築けます。彼にとってはいたって当たり前のことのようですが。しかしある日、それを写真に収めてみたときに感動を覚えたそうです」と語る。
リトル氏の写真について、ビッグウェーブを乗りこなすサーファーのレイアード・ハミルトン氏は、彼の好きな無秩序で広大な海をサーフしているときには不可能な形で、海の美と複雑性を細部まで見せてくれるという。
「彼の作品集は、より偉大なる力が存在すると信じざるを得ないような海の姿を捉えています」とハミルトン氏は言う。
若い頃のリトル氏は、なかなか挑む人がいないショアブレイクでのサーフィンを楽しんでいた。そんな同氏でさえ、このようなコンディションではトラブルに巻き込まれるという。
「大きな波の来る日に撮影をしようと泳ぎに出ると、波が1つ、2つ、3つと押し寄せてきます。そうすると息も絶え絶えになるのですが、さらに5つも波が来たりするのです。中を泳ぐことは不可能。しかし波に引き込まれて脱出も不可能。それは巨大です。そしてただ、ただ無秩序です」と同氏は語る。
6月8日には、人間が海に及ぼす影響について会話を促進し認識を高めることを目的とした年に一度の「世界海洋デー」を祝し、世界各地で波への敬意が表された。
By CALEB JONES Associated Press
Translated by t.sato via Conyac