中国離れる富裕層、世界最多1万5200人 巨額の資産持ち出し その理由、人気の移住先は?
◆毎月500億ドルが中国から持ち出されている
中国政府は富裕層と資金の流出に頭を抱える。資本規制を強化しており、特に大規模な海外投資や不動産購入に対して厳しい監視を行っている。また、個人が1年間に海外に持ち出せる外貨の上限を5万ドル(約800万円)に制限している。
だが、歯止めはかからない。英ガーディアン紙によると2023年の上半期だけで、中国からの資金流出は約195億ドル(約3兆円)に達している。この数字は中国の国際収支データに基づいているが、実際の資金流出額はさらに高い可能性がある。ニューヨーク・タイムズ紙は昨年、毎月約500億ドル(約8兆円)が中国から流出しているとの推計を伝えている。
資金の移動制限を回避するため、中国の富裕層はさまざまな方法を用いている。英フィナンシャル・タイムズ紙は、「地下銀行」の存在を報じている。公式の金融システムを通さずに資金を移動させる非公式な手段であり、こうした影の金融機関を通じた資金の移転は「ミラー・トランスファー」と呼ばれている。この手法では、中国国内の地下銀行に資金を預け、同額を海外の地下銀行から引き出す。
ほか、ニューヨーク・タイムズ紙によると、ゴールドバーを購入して持ち出す、香港の銀行口座を開設してそこから保険商品に投資する、海外の高級マンションを購入するなど、あらゆる手法で資金を移動させているという。