何か古いもの、何か新しいもの 『ダウントン・アビー:ア・ニュー・エラ』の衣装に注目
何か古いもの、何か新しいもの、何か借りたもの、何か青いもの。『ダウントン・アビー:ア・ニュー・エラ』の衣装にはこれらの要素がすべて盛り込まれている。
結婚式の日に花嫁がこの4つのアイテムを身につけると幸せになる、とのよく知られた言い伝えがある。結婚式のシーンからはじまる本作品の劇場版は5月20日に全米で公開され、全編を通しておよそ300点もの衣装が登場する。
ダウントンにある邸宅の上階と階下に住む人々の衣装デザインを担当したのはアンナ・ロビンズ氏である。テレビドラマシリーズと2019年公開の劇場版に携わり、豊富な経験をもつ。
「新しく登場するキャラクターのためのデザインを考えました。新たな空間、新たな撮影地といった新しい環境において、色調やプロダクションデザインを引き立てるものについての見直しが迫られることもありました。けれども『ダウントン』のことですので、書斎にある赤いソファーのことも私はよく知っていますし、どのような色がそれに合うかも理解しています。新しいものと古いものが一体化し、見事にアレンジされています」とロビンズ氏は語る。
映画の冒頭では、トム・ブランソン(アレン・リーチ)とルーシー・スミス(タペンス・ミドルトン)の結婚式が行われた。サテン生地のビスチェにシフォン素材の袖、シルクのチュールからなるドレスには、ヴィンテージの銀糸と手刺しの刺繍により再現された1920年代調のベールが合わせられた。
ミドルトンは繊細なドレスについて、撮影現場では汚れないように細心の注意を払う必要があり、身のすくむ思いだったという。
「この真っ白なシルクのドレスが床につかないよう、私が移動する先々ではいつも、およそ4人がかりで持ち上げていました。お手洗いに行くときは大変でしたが、それもまあ、とても楽しいことでした」とミドルトンは話す。
ロビンズ氏率いる衣装チームは、ヴィンテージと古着、最新のファッションアイテムを組み合わせ、1928年らしさを再現している。
「まさに宝探しです。やりがいはありますが、大画面に映えるクオリティで、かつキャラクターやシーン、状況にあったアイテムを探し出すのは大変です。新品で清潔な感じを出すために、きわめて上質なアンティークや、もしくはそのレベルに復元可能なアイテムを求めています」と同氏は話す。
ロビンズ氏によると、今回の続編のために制作した衣装は300点前後。2019年公開の劇場版『ダウントン・アビー』よりもはるかに多くのファッションがお披露目されたことになる。
「およそ24日分のストーリーと20名前後のキャストがいます。とくに上階の登場人物が変わることはよくあることで、その数を掛け合わせると、全体の規模が把握できるのではないでしょうか。クオリティはじつに高まっています。作品に登場する数々の美しい衣装を見て、うっとりとした気持ちで堪能されることを望んでいます」と同氏は話す。
By HILARY FOX Associated Press
Translated by Mana Ishizuki