なぜ東京が「経済的豊かさ」全国最下位なのか 中間層の厳しい現実
経済的な面から語るとき、「日本で最も豊かな都道府県」とはどこだろうか? 大企業が密集し生活インフラも整う首都・東京が想起されるが、平均的な人々の豊かさという意味においては、必ずしもそうではないようだ。そればかりか、評価方法によっては47都道府県でも最下位に位置するという。国土交通省国土政策局が2021年に発表した資料では、可処分所得や機会費用などを基準に算定した結果、東京が経済的豊かさにおいて最下位になり得るとの調査結果が示されている。
◆全世帯の豊かさでは上位の東京
はじめに、単純に全世帯を集計対象とした場合、東京は経済的豊かさで上位に立っている。国交省がまとめた資料「都道府県別の経済的豊かさ(可処分所得と基礎支出)」では、可処分所得の多さを経済的な豊かさの指標とし、都道府県をランク付けしている。結果、上位は次のようになった。
1位:富山県(46万4635円)
2位:福井県(44万9794円)
3位:東京都(43万6475円)
以下、茨城県、香川県、神奈川県の順に続く。1位・2位を北陸圏が占めるなか、東京都、茨城県、神奈川県など首都圏も健闘していることがわかる。可処分所得とは収入から税金や社会保険料などを引いたもので、当人の裁量で使途を決めることができる手取り収入のことだ。東京は可処分所得が多い都道府県の3位に入っており、単純なデータでは一見、経済的にかなり豊かな部類に入るようにも思われる。
なお、以下も含め集計対象の世帯はすべて、2人以上の勤労者世帯となっている。学生、単身者、経営者などはデータに含まれない。