レアアース埋蔵量、世界で最も多い国は? 地政学的リスク、日本の取り組み
ガドリニウム|LuYago / Shutterstock.com
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◆中国による輸出規制強化と米中貿易摩擦
その貴重性から、レアアースは国際政治の駒としても使われ始めている。ロイターによれば、中国は2023年以降、少なくとも16種類の鉱物とその関連製品の輸出を制限してきた。さらに今年4月には、アメリカによる高関税への報復措置として、7種類のレアアースを新たに規制リストに追加した。
規制の対象は、極めて戦略的に選ばれている。英フィナンシャル・タイムズ紙は、中国の最新の輸出規制では重希土類および中希土類が主なターゲットになっていると報じている。一方で、ネオジムやプラセオジムといった「軽希土類」は今回の規制対象から外れており、中国側が貿易摩擦の激化に応じてカードを追加で切れる余地を残した形とも言える。

EVのモーター|Takaeshiro / Shutterstock.com
具体的には、ジスプロシウム、テルビウム、サマリウムなどで、高温に耐えられる高性能磁石の製造に不可欠だ。軍事用途のジェット機やミサイル、ドローンだけでなく、電気自動車やハイブリッド車のローター、モーター、トランスミッションにも使用されており、その影響は広範囲に及ぶ。
中国は許可制の運用に加え、規制対象を含む製品のアメリカ向け再輸出を禁じる措置も強めている。関税の応酬ではなく、資源の出入りを絞ることで企業や同盟国のサプライチェーンに圧力をかけ、各国政府に政策転換を迫る狙いが透ける。
