レアアース埋蔵量、世界で最も多い国は? 地政学的リスク、日本の取り組み

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◆自動車産業など各国産業に深刻な影響
 産業界は中国の規制強化に戦々恐々としている。フィナンシャル・タイムズ紙によると、中国が輸出を完全に遮断し、製造に必須となるレアアースや磁石の在庫が数ヶ月以内に尽きれば、自動車生産の停止さえ起こりうるという。

 在庫の薄さも危機感を強める。関係者の推計では必須磁石の備蓄は3〜6カ月分にとどまり、多くの自動車各社と部品メーカーは2〜3カ月分しか確保できていないとされる。企業は駆け込みで調達を急ぎ、すでに一部の中国輸出業者が不可抗力(フォースマジュール)を宣言して出荷を停止する動きも出ている。

 自動車業界の幹部は同紙に対し、中国による鉱物規制はテスラやその他すべての自動車メーカーにとって「重大な結果」をもたらすと述べ、10段階の深刻度で「7または8」に相当すると評価した。

Sina Schuldt / dpa via AP

 さらに事態は複雑化している。ロイターによると、中国は最近、韓国企業に対し、中国のレアアース鉱物を含む製品をアメリカの防衛企業に出荷しないよう要請している。

記事は韓国経済紙の報道を引用し、中国政府がこのメッセージを韓国企業に伝えたと報じており、サプライチェーンの再編を強いる動きが加速している。

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Text by NewLuxe 編集部