ジバンシィ:前衛的なストリートスタイル

Francois Mori / AP Photo

 かつてオードリー・ヘップバーンが身にまとったジバンシィからは程遠いものだった。デザイナーのマシュー・ウィリアムズが掲げるテーマは、都会的でスポーティな軽装である。

 レディ・ガガやカニエ・ウェストのコラボレーターを務めていたアメリカ人デザイナーは、格調高いパリのランウェイにおいてもストリートスタイルを前面に出した。今シーズンのミューズに抜擢されたのは、ショーのサウンドトラックを提供したジャマイカのレゲエ歌手、アルカラインである。

 オーバーサイズのシルエットやほつれ加工のあるヘムライン、重厚感のあるチェーン、強面のフェイスマスクを特徴とするコレクションが続く。

Francois Mori / AP Photo

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 ウィリアムズによる回想から多くのコレクションが生み出された。ショーの幕開けを飾ったボンバージャケットには、レーザーカット加工によりブランドのロゴが施されている。デザイナーがかつて、ニューヨークのハーレムで称賛していたスタイルから着想を得たものだ。ほかにも、カリフォルニアのストリートファッションにプレッピーなスタイルを融合させた、ダメージ加工のあるテーラードパンツなどがコレクションに並んだ。

 ウィリアムズは自身のコレクションについて「すべて現実がベースになっています。どのルックをとっても、実際に着ている人がストリートにいる姿が目に浮かびます。かなり前衛的なやり方だと思っています」とバックステージで語っている。

 しかしときに、この日常的な雰囲気によってコレクションへの期待が裏切られることもある。たとえば、ピンク色のシンプルなスウェットスーツは、胸元を広く開けたスタイルにゴールドのチェーンネックレスがあしらわれていた。高級ファッションブランドのランウェイにふさわしく成熟したアイデアだとはあまり感じられない。

Francois Mori / AP Photo

 テーラリングについてはやはり、ブランドに対する期待どおり一貫して力強いものだった。美しいフォルムにカットされた、80年代の黒色テーラードコートはその一例だ。

By THOMAS ADAMSON AP Fashion Writer
Translated by Mana Ishizuki

Text by NewLuxe 編集部