エルメス:エフォートレスな幾何学デザイン
パリのシックなレフトバンクの歴史的なタペストリー工場、国立ゴブラン織工房。その石畳の上を、ソフトな幾何学模様とエフォートレスなスタイルのモデルたちが闊歩していく。
エルメスといえば、「シンプルで気取らないラグジュアリー」の代名詞。今回のパリコレでは30年以上エルメスのデザインをけん引してきたメンズウェアデザイナー、ヴェロニク・ニシャニアンが、1980年代に何度も披露された上品で力強いショーを展開し、あらためてエルメスらしさを証明した。
ローマンサンダルやボクシー(くびれのないバギーショートパンツ)を現代的にアレンジし、いつもよりリラックスした雰囲気のショーとなった。
コントラストをさらに深堀するという期待にも応えている。ショート丈のベストをオーバーサイズのパステルグレーのジャケット、そして股上の深いパンツと合わせることで、緊張感を表現。また、光沢のあるトープシャツとハニーデューのレザージャケットの下に滑らかな黒のパンツを合わせるなど、ファブリックのテクスチャーや色で「違い」を表している。さまざまな色合いのウールニットには、ゆったりした幾何学模様のラインが施されている。
ほかのパリコレクションとは異なり、コンセプトもギミックもミューズもないのは、シンプルに、それが必要ないからだ。
By Thomas Adamson, The Associated Press
Translated by isshi via Conyac