イッセイ ミヤケ:複雑な形と色彩の世界
照明の光の描く線が生き物のように動くなか、ランウェイ上でダンサーが身をくねらせて踊る。
イッセイ ミヤケの2023-24秋冬コレクションは、ただのスペクタクルではない。シンプルな形が折り重なってより複雑な形を作り出すという、幾何学的なテーマがあった。日本のブランド、イッセイ ミヤケは、代名詞であるテクノ生地のプリーツ加工を全体に用いながら、セクションごとに雰囲気をガラッと変え、そのテーマを追求した。
閃光が目の眩むような色彩を放つなか、新作コートの肩に山の尾根のようなタックがあしらわれ、チューブ状のスリーブがたわんだ美しく柔らかなシルエットで、オム プリッセ イッセイ ミヤケのコレクションが幕を開けた。シルエット自体はミニマルだが、プリーツの描く線が複雑な印象を与える。
そのほかのルックとしては、シンプルであることがパーツの数以上のものを生み出すというアイデアを「エッジコート」と呼ばれるスタイルを用いて展開するというセンスが光った。プリーツが絶えず形を変える衣装は、三角形の布を採用することで気品あふれる立体感が生まれ、暗闇を漂うクラゲのようにも見えた。
By THOMAS ADAMSON AP Fashion Writer
Translated by t.sato via Conyac