リック オウエンスの「古代エジプト」

Francois Mori / AP Photo

 アメリカ人デザイナーのリック・オウエンス氏がインスピレーションを得るため足を踏み入れたのは、古代の世界。彼はかつてエジプトに滞在し、ナイル川のほとりのエドフ神殿を訪れていた。

「デザイナー時々哲学者」であるオウエンス氏は「このように、時代を超えたものを前にすると、個人の不安などちっぽけに感じられます」と語っている。彼は昨今、パンデミックがファッション業界らに与えた影響についてコメントしており、ロックダウン期間は「内省のための時間」として受け入れたという。

 これまでもオウエンス氏のランウェイにはトガ(古代ローマの下着)やドレープ、高僧の衣装が登場するなど、その美学は常に古代エジプトのファッションを意識してきた。しかし、今回のショーではそうしたシルエットをさらに「オウエンス流」に掘り下げている。

Francois Mori / AP Photo

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「王家の谷を見ながら土の上に寝転がるのが、私が好きな視点でした」と彼は言う。

 服を重ね着してウエストを低くすることで、古代寺院の長い石彫のような縦長シルエットを実現。ダークカラーのフレアパンツは超ロング丈で、パレ・ド・トーキョーの会場では裾が石段を擦り生地がかすれるほどだった。そのぶん、ファンキーでシュールな効果は抜群だ。

 米ファッション界の巨匠が仕立てた、肩が高く盛り上がった「エクストリームショルダー」のフォルム、シルクシフォンやパリッとしたコットン素材、そして派手なチェック柄のデザインがエジプトの司祭の雰囲気を存分に体現している。

By THOMAS ADAMSON AP Fashion Writer
Translated by isshi via Conyac

Text by NewLuxe 編集部